カナダで「どうせ二度と会わないから・・・」は通用しない

日本には「旅の恥は掻き捨て」という言葉ある。

旅先はどうせ知らない人ばかりだから何か失敗してもその場限り、どうせ二度と会わないのだから大丈夫!という心理が働く。

これがカナダでは通用しない。

なぜか?

人が少なすぎて、2度と会わないだろう人物と結構な確立で会ってしまうのだ。

私がカナダに来たのが96年、その10年後にアメリカからカナダに入国した時のことだ。

入国係員に見覚えがある。なんとなく96年に来た時に私を担当したオフィサーに見えたのだ。

私は「私が初めてカナダに来た時に会った最初のカナダ人は多分あなただと思う。」

私がそう告げると、フォフィサーが端末を叩き出した。そして驚いた顔をして、「確かにあなたのカナダ初入国を担当したのは私だ!」

なぜか二人で大喜びをした思い出がある。

BC州の山奥の小さな町、カズローにてスタンド型の店で家族でプーティンやジュースを食べていた。

そこにはホームレス風の若い男がいて、ゴミ箱から食べ物を見つけだしては食事を楽しんでいた。

そして、私は店で新しい食べ物を注文。妻は子供を連れてトイレへ。テーブルに帰って来ると妻のジュースがない。

ホームレスの方を見ると妻のジュースはすでに彼のものになっていた。

ジュースを返してもらっても、もちろん飲む気にはなれないので差し上げる事にした。

数カ月後、バンフの自宅に近いスーパーマーケットで娘と買い物をして駐車場に出ると、なんと娘がカズローで会ったホームレスの男を発見!

私はすぐに近寄り「あんた、数ヶ月前、カズローにいなかった?」と話しかけた。

男は嬉しそうに「いたよ!なんで知ってるの?」

私は妻のジュースをかっぱらわれた事を男に告げた。

男は再会を喜ぶと同時にきまり悪そうな顔をしていた。

最後にわたしが「ハラはへっているか?」聞くと男は大きく頷いた。

私は娘に買い物袋からバナナを出すように命じた。

男はバナナを嬉しそうに受け取り、私達はその場を去った。彼にはまた会いそうな気がする。

メキシコに行った時の事だ。メキシコの空港でターンテーブルで娘が学校の先生に話しかけられていた。メキシコ到着日が偶然同じだったのだ。

その後シーカヤック客を専門に扱う宿に着いたら、知らない男に話しかけられた。「私はバンフの隣町のキャンモアに住んでいるんですが、あなたを見たことがある。クライミングジムで働いていない?」

ここは観光客はまず来ないマニアックな場所である。

私はクライミングジムで働いていないが、確実にどこかで私を見たことがあるのだろう。カナダではうかつに鼻くそもほじれないのである。

カルガリーのショッピングモールに行くとかなりの確実で友人に会う。これは渋谷や新宿などでは絶対にありえない確立だ。カルガリーにはショッピングモールが2つしかないので無理もない。

カナダで不倫するのはかなり危険だ。誰かがどこかで見ている。不倫を楽しむには日本とは比べ物にならないぐらいの注意が必要だ。実際に面白おかしく脚色されて不倫事件が私の耳に届く事がある。

このようにカナダでは「どうせ二度と会わないし〜」が通用しないので注意されたい。

カナダに来たばかりの頃、見知らぬ人と立ち話になったりすると別れ際に「シーユー」と言われる事に違和感を覚えていた。二度と会うことないでしょ!と。。

会っちゃうんだな〜、カナダでは。